商品詳細

大刀剣市 カタログ掲載品

脇指 備中国住次吉 貞和□年(以下不明)(古刀上々作)(大業物)

Wakizashi [Aoe Tsuguyoshi]
第60回重要刀剣
NBTHK Jyuyo Paper No.60
No. F00232
白鞘 銀無垢抱柏紋ハバキ

刃長 : 31.15cm (1尺0寸3分) 反り : 0.3cm (1分)

元幅 : 2.72cm 元重 : 0.5cm

登録証:

山口県教育委員会
昭和26年03月31日
国: 備中国 (岡山県-西部)
時代: 貞治 1362-1367年

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
特別保存刀剣鑑定書
平成27年10月
銘: 備中国住次吉
貞和□年 (以下不明)
形状 : 平造、三ツ棟、身幅尋常で、重ね薄く、反り浅くつく。
鍛 : 小板目に杢交え、細かに肌立ち、地沸微塵につき、地景入り、地斑状の肌合交え、乱れ映り風たち、かね明るい。
刃文 : 中直刃、僅かに小足入り、匂口締まりごころに微細な沸つき、匂口明るい。
帽子 : 僅かにのたれ込んで小丸にやや長く返る。
彫物 : 表裏に刀樋を掻き流し、添樋の痕跡がある。
茎 : 生ぶ、先浅い刃上がり栗尻、鑢目筋違、目釘孔四。

説明:

 十一世紀初頭の往来物「新猿楽記」は、諸国の名産物を列記する中に「備中ノ刀」を挙げている。これより二世紀の後、その高い評価を受け継ぐ青江派の刀工が登場し、高梁川下流域を中心に繁栄した。彼らのうち鎌倉時代中期頃までのものを古青江、それ以降南北朝期にかけてのものを青江と汎称し大別している。その作風は、古青江には小沸出来で匂口のやや沈んだ直刃仕立てに小乱れを交えたものが多く、鎌倉時代末期になると沸づきが穏やかとなり、さらに南北朝期のものは、匂口が締まり、明るく冴えた直刃や特色ある逆丁字乱れをみせるようになる。

 青江次吉は、次直・守次ぐらと並び、南北朝時代中期の青江派を代表する刀工の一人である。その作風には直刃と華やかな逆丁子乱れの二様があるが、概して次吉には直刃が、次直には逆丁子乱れが多く、いずれも匂口が締まり、明るく冴えるものが通例である。

 本作は、身幅広めに、寸が延びて大振りとなる南北朝時代の延文・貞治頃の姿形しめす。地鉄は、板目に、杢を交え、処々柾がかり、やや鉄色が黒みがかり、映りがたち、青江物の特徴とされる澄肌が数カ所にみとめられる。刃文は、匂口の締まった直刃を焼き、わずかにのたれごころを帯び、やや物打ち下辺より刃幅を増して帽子に結んでいる。名物:にっかり青江(重美)も物打ち辺の横手のかなり下から刃幅を増す態がみられ、こちらも青江物の特徴のひとつとされている。次直・次吉の両工にはそれぞれに逆丁子乱れ・直刃の両様の作例がみとめられるが、一般に、次直には逆丁子乱れが多く、次吉には直刃が多く、次吉の直刃は一段と匂口が締まるといわれている。さすがに、近年に重要刀剣の指定を受けた作品で、南北朝時代の青江派の見どころを余すことなくしめした青江次吉の優品といえる。

備考:

古刀 上々作。

大業物。

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