商品詳細

小柄 紋立乗 後藤益乗(花押)

Koduka [Goto Ritsujyo]
保存刀装具
NBTHK Hozon Paper
No. B00243
桐箱

長さ : 9.6cm    : 1.4cm

画題:

瓢鯰図
国: 山城国 (京都府-南部)
時代: 江戸時代中期

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
保存刀装具鑑定書
平成23年7月7日
銘: 紋立乗 後藤益乗(花押)
形状 : 赤銅魚子地、高彫、金色絵

説明:

 京後藤とは、むかしは脇後藤とも呼ばれており、後藤本家の作品より一格下にみられていたが、在銘品には本家に見紛う作品も多く見受けられる。それは京後藤は本家の次男:三男などが別家を創設し、本家のよき協力者として活躍し、力量を充分兼ね備えた名工たちが多かったからである。

京後藤は本家から最初に分家したのが喜兵衛家であり、喜兵衛家の初代:元乗は本家三代乗真の次男であり、本家四代光常の弟である。二代:琢乗は本家五代徳乗の三男である。四代が伝乗で光良は伝乗の長男である。この様に別家と言えども本家とは非常に関係の深い人々ばかりで、喜兵衛家以外にも理兵衛家・権兵衛家・半左衛門家・治左衛門家など十五家があり、江戸期を通じて京の都において活躍した。

 京後藤という名称に改められた理由の一つは本家八代即乗が寛永2年(1625)に幕府より京から江戸詰めの命を受け江戸に下り、その後、本家は江戸在住になったことに反し、分家した十五家は代々京に住し活躍したことや、技量の点においても決して劣らず、さらに本家の格式張った作風ばかりでなく京の雅さを感じさせる作風を加えた点などが大きい。さらに「京後藤の研究」の発刊を期に脇後藤から京後藤という名称に改められたといわれている。

 七郎兵衛家は京後藤の中でも七代:蓮乗まで連錦と続いた名家である。初代:立乗は、本家四代光乗の次男にて七郎兵衛家を創設する。二代:益乗は、立乗の三男として慶長7年に生まれ、寛文5年に64才で没する。門人に橋部正貞や阿波の野村正道がいる。

 本作は、戸尻に立体感あふれる蛇籠を金色絵で表現し、その小さな蛇籠から画面一杯に大きな鯰が悠然と泳ぎ背中には金色絵で小さな瓢箪を乗せている図柄である。本家の作には一匹の鯰や瓢箪あるいは馬を添えた図柄はみられるが戸尻に蛇篭を加えた図柄はいかにも京後藤らしい作品である。さらに鯰の下部の小さな魚子には水の流れを感じさせるうねりを加え躍動感を表現している。当時、流行した禅的な図柄であり桃山文化を感じさせる。初代:立乗作に実子である二代:益乗が極めたのであり信憑性は極めて高く加えて傑作品である。

備考:

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詳細写真2
詳細写真3
詳細写真4
詳細写真5
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詳細写真7