商品詳細

刀 薩藩臣奥考左衛門元平

天明五年乙巳九月二十八日(新刀上々作)

Katana [Yamatonokami Motohira]
特別保存刀剣
NBTHK Tokubetsu Hozon Paper
No. A00668
白鞘 金着一重鎺
田野辺探山先生鞘書
2,800,000

刃長 : 71.0cm(2尺3寸4分) 反り : 1.8cm(5分半) 

元幅 : 3.2cm 先幅 : 2.1cm 元重 : 0.65cm 先重 : 0.5cm 

登録証:

宮城県教育委員会
昭和26年7月19 日
国: 薩摩国 (鹿児島県-西部)
時代: 江戸時代後期 天明5年 1785年

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
特別保存刀剣鑑定書
令和4年8月25日
銘: 薩藩臣奥考左衛門元平
天明五年乙巳九月二十八日
形状 : 鎬造、庵棟、身幅広め、重ねやや厚く、元先の幅差つき、反りつき、中鋒延びる。
鍛 : 板目つみ、少しく杢交じり、地沸厚くつき、荒めの地沸を交え、地景太く入る。
刃文 : 小のたれ調に互の目・小互の目・尖り刃など交じり、足入り、匂深く、さかんに沸づいて厚くつき、さかんに沸づいて厚くつき、荒沸を交え、総体に沸筋・砂がしかかり、金筋入り、匂口明るい。
帽子 : 直ぐに小丸に返り、先掃きかける。
彫物 : のたれ込み、小丸に返り、先さかんに掃きかける。
茎 : 生ぶ、先入山、鑢目筋違、目釘孔一。

説明:

 奧大和守元平は薩摩藩工で、奧元直の嫡男にあたり、通称を孝左衛門という。延享元年に生まれ、文政9年83歳で歿している。彼は当時同国の伯耆守正幸と並んで薩摩新々刀界の第一人者であり、寛政元年正幸と同時に、大和守を受領している。作刀は明和年間より見られ、初め「薩陽士元平」、或は「薩藩臣奧元平」などと銘し、寛政元年受領後は、「奧大和守平朝臣元平」と銘するものが多い。作品は互の目乱れに小のたれ・尖り刃などを交えて、匂が深く、荒沸がつき、金筋・砂流し等がかかるなど、相州伝の作柄を得意としている。

 本作は、相州伝の作風を示したもので、互の目乱れに小のたれ・尖り刃などが交じり、足入り、匂が一段と深く、さかんに沸づいて厚くつき、荒沸を交え、金筋・沸筋・砂流し等がよくかかっている。作刀に迫力があり、佩きに富んだ作域を見せている。地鉄は、小板目肌がよくつまって、地沸が厚くつき、地景の入った地鉄は精良で、殊に鍛えが優れており、加えて幅広で重ねが厚めとなり、平肉のついた頑健な体配は薩摩刀然としている。元平の特色がよく表示された優刀といえる。

 なお銘文にあるように、天明5年9月28日と製作年紀に加えて月日まで刻されており、元平が大和守の官位を受領する前の42歳の時の作で、同年より薩摩藩島津家のお抱え工となり藩庁より「薩藩臣奥元平」と銘することを許されたといい、本刀がその記念すべき作品と推察される。

備考:

新刀上々作

 

田野辺探山先生鞘書

「薩摩国奥考左衛門元平 生茎拾弐字銘並ニ天明五年乙巳九月二十八日紀有之

同工ノ大和守受領前四拾弐歳時ノ作也 此年ニ藩庁ヨリ薩藩臣奥元平ト銘スルコトヲ許サレテオリ

蓋シ本刀ガ其記念スベキ作品歟

地刃共動静ニ富ミ覇気満チタル作域ヲ示シ出来見事矣 刃長ニ尺三寸四分有之

時己丑季極月良宜日 探山辺道識(花押)」

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