商品詳細

短刀 恒平作(上林恒平) (無鑑査)

昭和六十二年五月日

Katana [Kanbayashi Tsunehira]
無鑑査
Mukansa
No. A00603
白鞘 金着一重鎺

刃長 : 27.2cm(9寸) 反り : なし

元幅 : 2.6cm 元重 : 0.65cm

登録証:

東京都教育委員会
令和4年1月15 日
国: 山形県
時代: 現代 昭和62年 1987年

鑑定書:

銘: 恒平作
昭和六十二年五月日
形状 : 冠落造、三ツ棟、身幅やや広めに、重ねやや厚く、内反り。
鍛 : 板目練れてつみ、処々わずかに柾がかり、地沸つき、地景入る。
刃文 : 小のたれ、匂深く、小沸よくつき、細かな砂流しかかる。
帽子 : のたれ込み小丸に返り、先掃きかける。
彫物 : 表裏に薙刀樋と添樋を掻き流す。
茎 : 生ぶ、先栗尻、鑢目逆筋違、目釘孔一。

説明:

 上林恒平刀匠は、本名を勇二といい、昭和24年1月12日に山形県鶴岡市(旧:藤島町)に生まれる。昭和42年、鶴岡工業高等学校を卒業後、長野県の重要文化財保持者(人間国宝):宮入昭平刀匠に入門する。昭和48年に文化庁より作刀承認を受け、同年に新作名刀展に初出品して努力賞を受賞する。昭和51年に独立し、高松宮賞2回、文化庁長官賞4回、薫山賞1回、努力賞4回、奨励賞2回など数多く受賞する。昭和54~60年までの間には、2年連続の高松宮賞を含む、7年連続の特賞受賞という偉業を成し遂げ、昭和60年には36歳の若さで無鑑査に認定される。昭和61年、山形市大字長谷堂に鍛刀場を開設し、多くの名刀を鍛刀するととともに、刀身彫刻の技は柳村仙寿師に学ぶ。平成20年には、山形県指定無形文化財に認定される。作風は、相州伝をもっとも得意とし、志津三郎兼氏に私淑し、よく鍛えられた地鉄に、たおやかな大湾れを焼き、刃沸がよくついた覇気に溢れたものとなる。

 本作は、9寸(27.21cm)の冠落とし造り短刀姿に、地鉄は小板目肌がよくつみ、処々柾がかり、地沸厚くつき、地景入るといった精美な肌合いとなる。刃文は、小のたれ、匂深く、小沸よくつき、細かな砂流しかかり、上部はやや焼きが高くなり、帽子は、のたれ込み小丸に返るといった出来口を示している。本作は、加賀前田家に伝来した名物:秋田了戒を写したものと推察され、冠落とし造の独特の寸法に薙刀樋と添樋を彫る。本歌は大和物を想わせる直刃調なのに対して、写しの本作は小湾れ出来となっており、樋の留めもやや異なっているのは上林刀匠のアレンジによるものであろうか。

備考:

無鑑査

詳細写真1
詳細写真2