商品詳細

刀 靖繁(阿部靖繁)
昭和十八年六月吉日(靖国刀匠)

Katana [Abe Yasushige]
保存刀剣
NBTHK Hozon Paper
No. A00553
(附)陸軍式軍刀拵
白鞘 素銅地銀鍍金軍刀鎺

刃長 : 64.9cm(2尺1寸4分) 反り : 1.8cm(6分弱) 

元幅 : 3.1cm 先幅 : 2.1cm 元重 : 0.65cm 先重 : 0.5cm 

 

登録証:

山口県教育委員会
昭和28年12月7日
国: 東京都
時代: 現代 昭和18年 1943年

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
保存刀剣鑑定書
平成31年2月25日
銘: 靖繁
昭和十八年六月吉日
形状 : 鎬造、庵棟、身幅尋常、重ね厚め、元先の幅さややつき、反り浅くつき、中鋒となる。
鍛 : 板目つみ、地沸つき、地景入る。
刃文 : 中直刃、少しく小互の目交じり、小足入り、匂勝ちに小沸わずかにつく。
帽子 : 直ぐにやや大丸風に返る。
彫物 : (なし)
茎 : 生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目切、目釘孔一。
拵 : 陸軍式軍刀拵 総長 : 102.0cm
鐔 :

立葵木瓜形、素銅地、金鍍金、無銘

高さ:7.2cm 幅:6.0cm 厚さ:0.8cm

柄 : 白鮫着、焦茶糸柄巻。長さ:26.5cm
縁頭 :

桜花図、素銅魚子地、高彫、無銘

高さ:4.3cm 幅:2.6cm

目貫 : 桜花紋三双図、素銅容彫、金鍍金

説明:

「靖国刀匠」とは、昭和8年7月に当時の陸軍大臣:荒木貞夫が有事に際した軍刀整備の為に組織した刀工集団 (財)日本刀鍛錬会に所属する刀匠たちの通称で、彼らが鍛えた刀剣は「靖国刀」と呼称され、その名は日本刀鍛錬会が靖国神社境内に置かれたことに由来している。創設には後に主事となった海軍大佐:倉田七郎らが尽力し、草創期の主任刀匠として宮口靖広、梶山靖徳、池田靖光などがいる。鍛錬会では、主として通常の軍刀の制作や陸海軍大学校の成績優秀な卒業生に贈られた御下賜刀(所謂恩賜の軍刀)などの制作を行っており、終戦により同会が解散するまでに約8100振の刀を制作したといわれている。現在でも鍛錬所の建物は靖国神社境内に残っているが、内部は改装されて茶室になっている。

阿部靖繁は本名を繁雄といい、明治44年9月19日に山形県に生まれる。はじめ、山形において同郷の池田靖光(一光)の弟子として刃物や農具などを製作していた。昭和8年12月、靖光が東京の(財)日本刀鍛錬会に靖国刀匠として入会すると、靖繁もその先手として村上靖延(円策)と共に入会する。昭和14年10月4日、師である靖光が定年となったこともあり、畑俊六陸軍大臣より刀匠銘「靖繁」を授名する。昭和15年末に靖光が退会して山形に帰郷した後も、靖延とともに勢力的に作刀に励み、日本刀鍛錬会における造刀数は約850振をかぞえる。昭和14年、靖国神社奉納刀を勤作し、御下賜刀を制作する栄誉も得る。昭和19年12月21日、陸軍兵器行政本部主催の第二階陸軍軍刀展覧会において総裁賞を受賞する。靖繁はこの第二階陸軍軍刀展覧会以外には自身の作品を出品しなかった。昭和20年8月15日、終戦により退会する。

本作は、形状は、鎬造、庵棟、身幅尋常、重ね厚め、元先の幅さややつき、反り浅くつき、中鋒となる。鍛えは、板目つみ、地沸つき、地景入る。刃文は、中直刃、少しく小互の目交じり、小足入り、匂勝ちに小沸わずかにつき、帽子は、直ぐにやや大丸風に返るといった出来口を示している。
附帯する陸軍式軍刀拵えも状態はダメージが大きいものの、刀緒の色が茶と青であることから尉官の士官が所持していたことがわかる。

備考:

古研ぎのため、刀身の全体にヒケやアタリがみられ、上部の刃先に薄錆がみられます。

中程のやや上にわずかに刃こぼれがあります。

 

軍刀拵の鞘は経年により大きな傷みがあります。

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