商品詳細

刀 靖憲(小谷靖憲)
昭和十七年五月吉日(靖国刀匠)

Katana [Kotani Yasunori]
保存刀剣
NBTHK Hozon Paper
No. A00552
(附) 陸軍式軍刀拵
白鞘 銀着太刀鎺

刃長 : 61.1cm(2尺0寸2分弱) 反り : 1.5cm(4分半) 

元幅 : 2.8cm 先幅 : 1.85cm 元重 : 0.75cm 先重 : 0.5cm 

 

登録証:

埼玉県教育委員会
昭和58年9月20日
国: 東京都
時代: 現代 昭和17年 1942年

鑑定書:

(公)日本美術刀剣保存協会
保存刀剣鑑定書
平成30年6月13日
銘: 靖憲
昭和十七年五月吉日
形状 : 鎬造、庵棟、身幅尋常、重ね厚めに、元先の幅さつき、浅く反りつき、中鋒となる。
鍛 : 小板目肌よくつみ、地沸細かにつき、地景入る。
刃文 : 中直刃を基調にわずかにのたれごころを帯び、小互の目交じり、足繁く入り、匂い主調に小沸つき、処々むらとなり、匂口明るい。
帽子 : 直ぐ調に浅くのたれ小丸に短く返る。
彫物 : (なし)
茎 : 生ぶ、先極く浅い栗尻、鑢目切、目釘孔一。
拵 : 陸軍軍刀拵 総長 : 96.8cm
鐔 :

立葵木瓜形、黄銅地、金鍍金、地透

高さ:7.0cm 幅:5.7cm 厚さ:0.9cm

柄 :

白鮫着、茶糸平巻。長さ:26.7cm

縁頭 :

桜花図、素銅魚子地、高彫、無銘

高さ:4.1cm 幅:2.4cm

目貫 : 桜花紋三双図、素銅容彫、金鍍金

説明:

「靖国刀匠」とは、昭和8年7月に当時の陸軍大臣:荒木貞夫が有事に際した軍刀整備の為に組織した刀工集団 (財)日本刀鍛錬会に所属する刀匠たちの通称で、彼らが鍛えた刀剣は「靖国刀」と呼称され、その名は日本刀鍛錬会が靖国神社境内に置かれたことに由来している。創設には後に主事となった海軍大佐:倉田七郎らが尽力し、草創期の主任刀匠として宮口靖広、梶山靖徳、池田靖光などがいる。鍛錬会では、主として通常の軍刀の制作や陸海軍大学校の成績優秀な卒業生に贈られた御下賜刀(所謂恩賜の軍刀)などの制作を行っており、終戦により同会が解散するまでに約8100振の刀を制作したといわれている。現在でも鍛錬所の建物は靖国神社境内に残っているが、内部は改装されて茶室になっている。

小谷靖憲は本名を憲三といい、明治2年1月7日に広島県に生まれる。昭和8年7月8日、伯父である梶山靖徳の先手として日本刀鍛錬会に入会する。昭和10年7月1日、林銑十郎陸軍大臣より刀匠銘「靖憲」を授名する。昭和13年、自宅に鍛錬場を解説し、日本刀鍛錬会の休日などに親類や友人のために造刀を開始する。自宅の鍛錬場で造刀したものには靖徳と同様に、陸軍大将なら武次(侍従武官長)より授名した刀匠銘「武憲」を切る。昭和19年12月21日、陸軍兵器行政本部主催の第2回陸軍軍刀展覧会において会長賞を受賞する。昭和20年7月15日、香川県善通町に(財)日本刀鍛錬会の分工場開設のために移動する。同年8月15日、香川県で終戦を迎え、退会する。(財)事平日用器具研究所に参加するが、12月28日、退所し帰郷する。

本作は、鎬造、庵棟、身幅尋常、重ね厚めに、元先の幅さつき、浅く反りつき、中鋒となる。鍛えは、板目肌よくつみ、地沸細かにつき、地景入る。刃文は、中直刃を基調にわずかにのたれごころを帯び、小互の目交じり、足繁く入り、匂い主調に小沸つき、処々むらとなり、匂口明るい。帽子は直調に浅くのたれ小丸に短く返る、といった優れた出来口をみせており、古作:備前真長を想わせる静謐な趣きある刀となっている。
附帯する陸軍式軍刀拵えも状態は良好で、刀緒の色が茶と赤であることから左官の士官が所持していたことがわかる。

備考:

古研ぎのため、部分的に細かなヒケがあります。
帽子や横手下辺りの刃先にわずかに薄錆がみられます。

鎺の片面の銀着せに剥がれあり

白鞘・つなぎ新規製作

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