兼定(ノサダ初期銘)

保存刀剣 NBTHK Hozon Paper

No.F00230

白鞘  佐藤寒山先生鞘書 金着二重祐乗鑢ハバキ

(附) 茶印籠刻鞘肥後拵

     売 約 済

刃長 : 66.3cm  (2尺1寸9分) 反り : 2.0cm  (6分強)

元幅 : 2.65cm 先幅 : 1.7cm 元重 : 0.5cm 先重 : 0.4cm

登録証

東京都教育委員会

昭和26年03月30日

: 美濃国 (岐阜県-南部)

時代 : 室町時代後期 明応頃 1492-1500年頃

鑑定書

(公)日本美術刀剣保存協会

保存刀剣鑑定書

平成19年08月21日

兼定(ノサダ初期銘)

形状

 

刃文

 

帽子

鎬造、庵棟、身幅・重ねとも尋常、鎬筋高く、先反りつき、中鋒に結ぶ。

小板目肌よく錬れてつみ、総じて細かに柾がかり、地沸つき、地景入り、白け映りよくたつ。

中直刃、浅くのたれごころを帯び、匂口しまりがころに、わずかに小沸つき、小さく金筋いり、細かに砂がしかかり、匂口明るく冴える。

直ぐに小丸に長く返り、先掃きかける。

磨上、先浅い栗尻、鑢目(旧)鷹の羽・(新)勝手下がり、目釘孔二。

 

目貫

小柄

茶印籠刻鞘肥後拵 総長 : 93.5cm

州浜図、障泥形、鉄地、銀象嵌、両櫃孔仕立、無銘

高さ:8.0cm 幅:7.8cm 厚さ:0.3cm

黒鮫着、茶革巻。長さ:21.8cm

山銅山路形

貝図、赤銅容彫

桐鳳凰図、赤銅魚子地、高彫 縦:1.3cm 横:9.7cm

樋定規図、赤銅魚子地、高彫、蕨手金色絵 縦:1.2cm 横:21.4cm

説明

 和泉守兼定(之定)は孫六兼元と並んで室町時代後期の美濃鍛冶を代表する刀工で、「定」の字のウ冠の中を「之」と切ることから「ノサダ」と称され、一般に 三代といわれる「疋定(ヒキサダ)」と区別されている。しかし、「古刀銘集録」に「同二代目和泉守藤原ト打 明応年号切 定ノ字体真ニシテ多関住作打 永正ノ初ヨリ如此之ノ字切 故ニ之定ト唱」とあり、初めは定の字を楷書で切った事がわかり、明応2年紀、同8年紀の遺例がある。そして、「ノサダ」銘に転化したのは永正の初めというが、現存する作刀からすれば、明応8年11月以降で同9年8月以前とするのが正しい。兼定(之定)は古刀期にあって珍しく受領「和泉守」を許された刀工で、「和泉守」の受領について永正7〜8年といわれており、多くの刀剣書は「すぐれたる上手」 と述べている。兼元の「三本杉」と称せられる尖り刃主調の乱れ刃に対して、兼定(のさだ)は丸い互の目・のたれ・互の目丁子などを交えた刃文を焼いて変化があり、鍛えがよく錬れて優れるのも特色である。

 兼定が直刃を焼いた作例で、佐藤寒山先生の鞘書にもあるように山城伝の来国俊写しとなる。兼定の来写しは刀の他に短刀にもみられ、その特徴として常々のものよりも地鉄が一段と精良である点が特筆される。同じ美濃鍛冶の双璧とされる孫六兼元にも希に来写しの作例があるものの、地鉄が精良なことに関しては兼元であっても兼定に及ぶものではない。本作の地鉄は、小板目肌がよく錬れてつみ、細かに柾がかり、地沸がよくつき、地景が入り、白け映りが鮮明にたち、鉄に潤いが感じられる。刃文は、中直刃、わずかにのたれごころを帯び、匂口しまり、匂本位にわずかに小沸つき、金筋入り、砂流しがかかるといった本歌:来国俊の作に迫る優れた作域をみせている。

 余談ながら、細川忠興が所持した「歌仙兼定」と呼称される兼定の刀は「濃州関住兼定作」の之定銘で長さ1尺9寸9分5厘(60.5cm)の直刃出来となっており、その斬れ味が優れたことは抜群であったという。附帯する歌仙拵も本作と同様に肥後拵の一種となる。

備考

古刀最上作。

最上大業物。

 

佐藤寒山先生 鞘書

「美濃国兼定 二字折返銘有之 来国俊写し刀之一也 刃長二尺一寸九分有之 昭和丗九年端午月吉日 寒山誌(花押)」

兼定(ノサダ初期銘)
兼定(ノサダ初期銘)
兼定(ノサダ初期銘)
兼定(ノサダ初期銘)
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