月山貞勝

保存刀剣 NBTHK Hozon Paper

No. F00106

白鞘  銀無垢一重祐乗鑢ハバキ

     売 約 済

刃長 : 20.0cm  (6寸6分) 反り : なし

元幅 : 2.0cm 元重 : 0.5cm

登録証

千葉県教育委員会

平成14年12月13日

国 : 大阪府

時代 : 現代 昭和九年 1934年

鑑定書

(公)日本美術刀剣保存協会

保存刀剣鑑定書

平成20年07月09日

月山貞勝謹作(花押) 昭和九年三月吉日

為石村真一氏

形状

刃文

帽子

平造、三ツ棟、やや細身にて、重ね頃合、僅かに反りのある小振りな短刀姿。

杢目を規則的に連れて綾杉肌となり、地沸つき、地景入る。

中直刃、匂本位に小沸つき、刃縁綾杉肌にからむ。

直ぐに小丸に返り、返り深く焼下げ、先総体に掃きかける。

生ぶ、先栗尻、鑢目筋違に化粧つく、目釘孔一。

説明

月山貞勝は帝室技芸員:月山貞一(初代)の長男として明治2(1869)年、大阪-槍屋町で生まれた。名を英太郎と言い、幼少の頃より父:貞一につ き鍛刀技術を修めた。その技倆は貞一に迫るものがあり、貞一没後は大阪月山家を継ぎ、その門下からは三男の月山貞一、高橋貞次の2人の人間国宝や、多くの 良工を輩出し昭和18(1943)年12月24日に74歳で没した。

大正7(1918)年頃まで は、父貞一の相槌を勤めていた為に、自身銘の作はほとんど無く、この頃の作としては、僅かに昭和天皇立太子禮御佩刀の直刀が知られている。出羽三山神社蔵 の大正10(1921)年紀の脇指は綾杉伝で、これが世にある貞勝の年紀としては最も古いものであろう。

大正10年頃より貞勝は一木喜徳郎宮内大臣の知遇を受け、天皇陛下の大元帥刀や、各宮家や宮内省の御下命を受け賜わり、陸・海軍将官への御下賜刀の製作にあたっている。

貞勝の作風は、綾杉伝の他に、備前伝を得意とし、相州伝にも見るべきものがある。刀は細身で小切先の優美な姿のものが多く、これは前述した、宮内省関係の刀を多く製作していたことと深い関連があると思われる。

 

本刀は、品の良い短刀姿に月山の家伝である「綾杉肌」の鍛えを呈し、それが直刃の刃文に刃肌がよくからみ、様々な刃中の働きをみせている月山貞勝の優品である。

本来、直刃というものは刀工の技倆が最も顕著にあらわれる刃文であり、そういう意味では最も難しい刃文であるが、本作は直刃の中にも細かな働きがあり、実に品が良く、月山貞勝の力量を遺憾なく発揮した一振である。

この短刀は、昭和8年12月23日、ご誕生になられた平成の今上天皇陛下のご生誕を祝して製作された御守刀と思料される。昭和9年頃には、本作と同様に数多く記念の刀剣が月山貞勝により製作されており、「皇太子殿下御誕生記念」「御守刀以余鉄」などの銘文がみられる。

附属の銀無垢一重祐乗鑢ハバキもこの頃の月山一派の作品に見られるもので製作当時のハバキと思われる。

注文主である石村真一氏については不明である。

備考

月山貞勝1
月山貞勝2
月山貞勝3

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