之定初期銘

特別保存刀剣 NBTHK Tokubetsu Hozon Paper

No.A00499

白鞘 田野辺探山先生鞘書  金着一重ハバキ

     売 約 済

刃長 : 30.2cm  (9寸9分半) 反り : 0.4cm  (1分)

元幅 : 2.5cm 元重 : 0.5cm

登録証

神奈川県教育委員会

昭和46年07月21日

: 美濃国 (岐阜県-南部)

時代 : 室町時代後期 明応頃 1492-1500年頃

鑑定書

(財)日本美術刀剣保存協会

特別保存刀剣鑑定書

平成30年03月15日

兼定(之定初期銘)

形状

刃文

帽子

彫物

菖蒲造、庵棟、身幅尋常、重ねやや厚く、わずかに反りつく。

板目、総体に柾がかり、処々ながれ、地沸厚くつき、地景入る。

中直刃調に浅くのたれごころを帯び、少しく小互の目交じり、足入り、匂深く、沸微塵に厚くつき、金筋太く入り、砂流しかかり、明るく冴える。

浅くのたれて小丸に返り、先さかんに掃きかける。

表:梵字、素剣、裏:刀樋に添樋を丸留する。

生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔一。

説明

 和泉守兼定(之定)は孫六兼元と並んで室町時代後期の美濃鍛冶を代表する刀工で、「定」の字のウ冠の中を「之」と切ることから「ノサダ」と称され、一般に 三代といわれる「疋定(ヒキサダ)」と区別されている。しかし、「古刀銘集録」に「同二代目和泉守藤原ト打 明応年号切 定ノ字体真ニシテ多関住作打 永正ノ初ヨリ如此之ノ字切 故ニ之定ト唱」とあり、初めは定の字を楷書で切った事がわかり、明応2年紀、同8年紀の遺例がある。そして、「ノサダ」銘に転化したのは永正の初めというが、現存する作刀からすれば、明応8年11月以降で同9年8月以前とするのが正しい。兼定(之定)は古刀期にあって珍しく受領「和泉守」を許された刀工で、「和泉守」の受領について永正7〜8年といわれており、多くの刀剣書は「すぐれたる上手」 と述べている。兼元の「三本杉」と称せられる尖り刃主調の乱れ刃に対して、兼定(のさだ)は丸い互の目・のたれ・互の目丁子などを交えた刃文を焼いて変化があり、鍛えがよく錬れて優れるのも特色である。

 本作は、製作年代は「定」の字が「ノサダ」銘に転化する以前の明応頃(1492-1500)と推察される。姿形は、菖蒲造、庵棟、身幅尋常、重ねやや厚く、わずかに反りつく。地鉄は、板目、総体に柾がかり、処々ながれ、地沸厚くつき、地景入り、刃文は、中直刃調に浅くのたれごころを帯び、少しく小互の目交じり、足入り、匂深く、沸が微塵に厚くつき、金筋太く入り、砂流しかかり、明るく冴えるといった作風をみせている。菖蒲造の姿形や、地刃ともに厚く沸づいており、一見すると大和物の当麻派をおもわせるものがある。特に刃中は一面が沸えて、金筋が太くよく入り、砂流し・打ちのけなどを盛んに交えており覇気が感ぜられる。

之定の菖蒲造の作例は珍しく、他に島津家伝来のものも一段と沸づいたものとなっている。

備考

古刀最上作。

最上大業物。

 

田野辺探山先生 鞘書

「濃州関兼定 刃長九寸九分半有之 時在丁酉高秋 探山辺道誌(花押)

二字有銘而ノサダ初期銘也 蓋シ明応始頃ノ年代ナラン 沸主調ノ直刃ヲ焼キホツレ・砂流ノ働キ加ハリ同工ノ一作域ヲ示ス者也好資料哉」

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