信国

特別保存刀剣 NBTHK Tokubetsu Hozon Paper

No. A00117

白鞘  金着二重ハバキ

  売約済

刃長 : 66.1cm  (2尺1寸8分) 反り : 1.4cm  (4分強)

元幅 : 2.75cm 先幅 : 1.7cm 元重 : 0.7cm 先重 : 0.4cm

登録証

岡山県教育委員会

平成02年09月11日

: 山城国 (京都府-南部)

時代 : 室町時代初期 応永元年 1394年

鑑定書

(公)日本美術刀剣保存協会

特別保存刀剣鑑定書

平成03年12月09日

信国

応永元年八月日

形状

 

 

刃文

 

 

帽子

彫物

鎬造、庵棟、身幅・重ね共に尋常にて、寸法やや短く、元先の幅差あり、先反り浅くつき、元に僅かに踏ん張りごころがあり、小鋒の太刀姿を呈す。

板目つみ、部分的に肌立ちごころとなり、地沸細かによくつき、地景入り、沸映りたち、潤いのある肌合いとなる。

互の目乱れ、互の目を二つ連れた矢筈風の刃と一つの互の目を交互に規則的に焼き、小のたれ、小互の目、尖り刃など交じり、足入り、沸よくつき、金筋入り、ささやかな砂流しかかり、わずかに棟を焼く。

乱れ込み、先掃きかけて、火焔風となる。

表裏の腰元に梵字を肉彫する。

生ぶ、先刃上がり栗尻、鑢目勝手下がり、目釘孔一。

説明

信国は、京鍛冶の名門で、南北朝時代から室町時代にかけて華やかな繁栄をみた。初代信国は了戒系の刀工で、相州貞宗の門に学ぶと伝え、延文・康安・貞治の年紀をみる。以後南北朝末期に代替わりの信国が存在し、さらに応永頃にはいってからの信国派には式部丞信国・左衛門尉信国の両工が代表者で、他に二字銘の信国を銘する刀工がいて、いずれも応永年紀をきるところから「応永信国」と呼ばれて著名である。同名が何人いるか明らかではないが、さすがに京鍛冶の名門であるだけに信国を名のる刀工には優れたものがみられる。

信国初代の作風は京物の伝統を示した直刃と貞宗風を承けた湾れ刃の二様が主であったが、南北朝末期の代替わりの信国から「応永信国」にかけては上記の作風のほかに互の目調の乱れ刃の作域が新たに加わる。

この太刀は、応永年紀の信国の中では最も早く、前代の終わりから応永のはじめにかけて栄えた信国であろう。姿は重ねが厚めに、やや先反りがつき、腰元に踏ん張りごころが感じられる応永頃の太刀姿に、鍛えは板目に地沸が厚くつき、地景がよく入り、沸映りがたち、刃文は、「応永信国」の典型的な互の目を二つ連れた矢筈風の刃と一つの互の目を交互に、一ツ、二ツ、一ツ、二ツ、と規則的に焼く特徴ある焼刃をみせている。帽子は、小鋒の中に乱れ込んで、さかんに掃きかけ力強い。また、簡素ながら彫物もさすがに巧みであり、茎の銘文も資料価値が高い。

二尺二寸程の小振りな太刀姿の体配は、南北朝末期の至徳・明徳から応永初期にかけての典型的な姿で、「応永信国」の他には小反り備前、藤島友重、長州顕国などにも経眼される。

佩裏の腰元(梵字周辺)にある鍛え傷は惜しまれものの、生ぶ茎、在銘、目釘孔一で、応永元年紀を有する「応永信国」の優品であり、今から600年以上の星霜を経た貴重な一振りである。

人間国宝(重要無形文化財保持者):藤代松雄先生による最上研磨の為か、普段よりも地刃ともによく冴えている。

尚、33回重要刀剣には、本作と同一刀工と推察される応永三年紀の太刀が指定されており、ご参考いただきたい。

備考

人間国宝(重要無形文化財保持者):藤代松雄先生 最上研磨品

 

佩裏の腰元(梵字周辺)に鍛え傷があります。

<同一刀工と思われる応永信国の作例>

 

太刀  信国 応永三年十二月日 (33回重要刀剣)

長さ:66.3cm 反り:2.1cm 元幅:2.7cm 先幅 : 1.6cm

信国1
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