河内国平

無鑑査 Mukansa

No.A00369

白鞘  金着二重ハバキ

     売 約 済

刃長 : 73.3cm  (2尺4寸2分) 反り : 2.0cm  (6分半)

元幅 : 3.35cm 先幅 : 2.8cm 元重 : 0.65cm 先重 : 0.5cm

登録証

東京都教育委員会

平成25年10月08日

: 奈良県

時代 : 現代 平成25年 2013年

鑑定書

くにひらかわちみちをつくる(刻印・無玄関)

彦四郎貞宗宇津し 平成二十五年錦秋之

形状

刃文

 

帽子

彫物

鎬造、庵棟、身幅広く、重ね厚め、元先の幅差少なく、反りつき、大鋒となる。

板目つみ、処々柾がかり、厚く地沸つき、地景太く入る。

浅いのたれを基調に互の目・小互の目交じり、足入り、匂深く、小沸よくつき、金筋入り、砂流しかかる。

直ぐ調に、表は小さく乱れ、裏はのたれて小丸に返り、先掃きかける。

表裏に二筋樋を丸留する。

生ぶ、先栗尻、鑢目筋違、目釘孔一。

説明

 河内国平刀匠は、十四代河内守国助の次男として昭和16年大阪で出生する。関西大学在学中に考古学者:末永雅雄氏に師事しその薫陶を受け、卒業と同時に宮入昭平氏(人間国宝)の許に入門する。相州伝の修得と共に職人としての教えを叩き込まれ、独立後は高松宮賞を始め受賞を重ねる。独立から12年目、探求心旺盛な氏は次に備前伝を修得するため、既に特賞に名を連ねる技量を有し無鑑査認定を目前にしながら、隅谷正峯氏(人間国宝)の許しを得て、再び入門、両伝を納めることになる。昭和62年にはその備前伝の作刀が文化庁長官賞を受賞、同年無鑑査認定、その評価は揺るぎないものとなる。

 一方で、末永氏の恩に報いるべく「石上神宮七支刀」や「稲荷山古墳出土鉄剣」「藤ノ木古墳出土大刀」など、古代刀復元も積極的に手掛けられ、また東京芸術大学や母校関西大学から非常勤講師の委嘱を受けての講義や、バルト三国の一つであるリトアニア共和国での公開鍛錬実演など、年々活動範囲が広がっている。

 片や後継者の育成にも余念がなく、現在まで6人の弟子が独立。これらの功績が認められ、奈良県重要無形文化財保持者の認定や、厚生労働大臣卓越技能表彰を受け、さらに氏の人柄を慕って、写真集や小説、果ては漫画まで出版されるなど、斯界にとどまらず河内刀匠に対する評価は年々高まっている。平成26年(2014)、4年ぶりとなる正宗賞を見事な乱れ映りのたつ備前伝の作品で受賞された。入門から48年目、約半世紀にわたって不断の高みを求め続けた結果が結実した。

 本作は、身幅が広く、元先の幅差少なく、反りがつき、大切先に結んだ南北朝時代でも延文・貞治頃のもっとも豪壮となる姿をしめしている。地鉄は、板目に柾を交えて、太い地景が繁く入り、地沸が厚くつく。刃文は、よく沸づき、のたれ調の中に互の目小互の目を交える。宮入昭平師ゆずりの相州伝の作品で、刃取りがやや穏やかなるところや二筋樋などから、相州上工のなかでも貞宗に私淑したものであろうか。さすがに、刀剣界きっての書家と賞賛される河内刀匠の茎には、流暢な仮名で「くにひらかわちみちをつくる」と銘が切られている。刀身の出来映えもさることながら、その銘切りの鏨使いにもあらためて驚嘆の思いがする。

 

(参考:刀剣美術 第689号 平成26年-2014 6月号)

備考

無鑑査

河内国平1
河内国平2
河内国平3
河内国平4

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